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夕暮れ、道に迷った少年が森の中で泣いていた。ふと声をかけてきたのは、彼と同じくらいの年頃の、不思議な雰囲気を纏った子供だった。ウタシロと名乗るその子と、少年は次第に仲良くなり、森で穏やかで夢のような日々を過ごすようになる。
だが、ある日、少年はウタシロが人間ではないことに気づいてしまう。その冷たさ、ふと見せる寂しげな眼差しに恐れを感じ、少年は少しずつ距離を置くようになる。ウタシロと別れた後、少年は次々に不幸に見舞われ、やがて心の拠り所を失い、生きる意味さえ見失いかける。
すべてを終わらせようと覚悟した夜、再び現れたのは、あの日と変わらぬ穏やかな顔をしたウタシロだった。
文字数 1,286
最終更新日 2024.10.29
登録日 2024.10.29
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