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一人の芸術家を心から尊敬し、彼が世に認められることを切に願う私。 美術画廊に勤めたがすぐに辞め、今度は小説家になって敬愛する芸術家の話を書いて世に知らしめようとするが、それもうまくいかない。 金も底をつき、借家も退去せざるをえなくなり、生きる意義までなくした私は最後に好意を持っていた女と会うが、みじめで底抜けの悲しみを覚える。 その話を芸術家にすると、女に現を抜かしたことを笑われ、とがめられる。幼い頃から知っている芸術家は私にとって尊敬の対象であったが、同時に幼い頃から私の劣等感や憂鬱を生み出す負の源泉であることにも気づく。 何もかもを失った私の憂鬱の輪郭が消えるにはどうすればよかったのか。
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文字数 32,190 最終更新日 2016.09.17 登録日 2016.09.17
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