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いまいち売れない正統派ロックバンド、「ダラス」の四人組。
バンドリーダーでベースを担当する高梨遊行、可憐な女性ギタリストの片山翼、そのあだ名の通り大男であるドラマーのジャンボ、そして天才的なカリスマ・ボーカリストの秀丸。
彼らはいつの日か自分たちのことが世に認められ、その奏でる音楽が広く愛されることを心から願い、またひたすら夢に見つつ、日々、苦闘のバンド活動に明け暮れている。
ある時、「ダラス」のメンバーはバンドマネージャーのふとした発案で応募した大手レコード会社主催のオーディションに合格し、武道館という大きな舞台に立つと共に、メジャーデビューを飾るチャンスを手に入れる。
しかしながら、辣腕プロデューサーMによって、その音楽性をことごとく否定された秀丸は、Mに対するやり場のない不満と苛立ちを募らせながら、しだいにバンド内でも孤立しはじめる。
そんな折、それまでずっと彼のことを陰ながら支えてきた恋人の鷲尾朝美が、病気を苦に自殺同然の不慮の死を遂げてしまう。
恋人を喪くして、悲しみに暮れる秀丸。さらには「ダラス」のバンド活動にも方向性を見失った彼が、最後に臨んだ日比谷・野外音楽堂のライブで、果たしていかなる異常行動に出るのか?
かつて、本気でロック音楽に夢と希望を託した少年、少女たちに捧げる青春の挽歌……。
文字数 41,475
最終更新日 2020.06.22
登録日 2020.06.21
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