私の婚約者様は王女殿下の騎士をしている
王宮の廊下に響く足音、
剣の輝きと鋼の誓い。
あなたは王女殿下のそばに立ち、
その瞳に忠誠を宿している。
私はただ、影の中で待つだけ、
あなたの帰りを祈るだけ。
病弱な王女殿下の微笑みのために、
その時間のすべてを捧げるあなた。
婚約者である私の存在は、
どれほどあなたの心に刻まれているのだろう。
名ばかりの絆が私を締め付け、
愛と義務の狭間に揺れる想い。
王女殿下の美しい顔を思えば、
嫉妬ではなく憐れみが浮かぶ。
それでも、あなたの視線が彼女に向けられるたび、
私の胸はそっと疼く。
愛していますか、それとも義務ですか。
私の問いは風に散り、
あなたの沈黙に溶けていく。
答えのない夜がまた訪れる。
それでも私は待ち続ける、
いつかあなたの剣が下ろされる日を。
その手が私を抱きしめ、
忠誠ではなく、愛の言葉を囁く日を。
私の婚約者様、
王女殿下の騎士をしているあなたが、
私だけの騎士になる未来を夢見て、
私はただ静かに祈り続ける。
文字数 10,211
最終更新日 2024.11.19
登録日 2024.11.19
季節の織り糸
季節の織り糸
さわさわ、風が草原を撫で
ぽつぽつ、雨が地を染める
ひらひら、木の葉が舞い落ちて
ざわざわ、森が秋を囁く
ぱちぱち、焚火が燃える音
とくとく、湯が温かさを誘う
さらさら、川が冬の息吹を運び
きらきら、星が夜空に瞬く
ふわふわ、春の息吹が包み込み
ぴちぴち、草の芽が顔を出す
ぽかぽか、陽が心を溶かし
ゆらゆら、花が夢を揺らす
はらはら、夏の夜の蝉の声
ちりちり、砂浜が光を浴び
さらさら、波が優しく寄せて
とんとん、足音が新たな一歩を刻む
季節の織り糸は、ささやかに、
そして確かに、わたしを包み込む
文字数 267,637
最終更新日 2024.11.18
登録日 2024.08.18