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堂島莉華は、高校時代にゴルフ部の不正を告発したことで孤立し、退部・中退を余儀なくされる。家族との関係も悪化し、夜の街をさまよう中で、偶然プログラミングに出会い、そこに新たな可能性を見出す。独学でスキルを磨き、IT専門学校を経て、データウェービー社に入社する。
新たな職場で、冷徹と評される敏腕バンカー・清瀬光と出会う。彼は理論と数字を重視し、感情を排除した合理的な判断を貫く男だった。最初は仕事の進め方を巡って衝突するが、プロジェクトを通じて次第にお互いを理解し始める。莉華は光の冷徹な表情の裏に、彼自身も何か過去を抱えていることを感じるようになる。
ある日、仕事のミスを庇った光に対し、莉華は彼の本当の優しさを知る。仕事の枠を超えて距離が縮まる中、光もまた、情熱的で真っ直ぐな莉華に惹かれていく。彼の「論理」と彼女の「感情」が交錯し、光はこれまでの価値観を揺るがされる。
そんな矢先、プロジェクトで重大な問題が発生し、莉華は窮地に立たされる。光は彼女を救うために奔走し、ついに自らの気持ちを自覚する。そして、雨の夜、莉華を探し出した光は「お前がいないと困る」と、彼らしい不器用な言葉で告白する。莉華もまた、自分が彼を特別に思っていることを認め、二人は想いを確かめ合う。
仕事を通じて絆を深めた二人。清瀬光の心をハックし、冷徹な男の中に温かい感情を芽生えさせた莉華。彼らの関係は、仕事のパートナーから、かけがえのない存在へと変わっていくのだった。
文字数 62,040
最終更新日 2025.02.02
登録日 2025.01.31
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