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少子高齢化が進んだ日本。
あまりにもアンバランスとなってしまった人口の世代比率は、遂に日本という国家そのものの存在を危ぶむ状態にまで陥っていた。
その危機に直面した当時の二階堂晶(にかいどうあきら)首相が率いる二階堂政権は、一つの賭けとも言える政策を発表した。
その政策は、発表当初、多くの批判を浴びた。非人道的だ!ありえない!と。
あまりにも多くの批判を浴びた政策ではあったが、それは強引にも実施される形となった。
連日、マスコミが批判を放送する中、同時に伝えられた二階堂首相が放った言葉が、強烈に当時の日本人に衝撃を与えた。
「日本はもう終わったのです。年寄りばかりが増えて、年寄りの為の国になって、そして終わった。街には、年寄りしかいなくなった。私は、若者を見たいのです!若者を!」
ほとんどの日本人が思っていることでもあった。
そして、全員が見て見ぬふりをしていたことでもあった。
通された法案は「多子若年化の為のクローン化」。
内容は、生まれてくる子供達は、生まれたその時に、クローンが2人作られる。
つまり、1人の子供が生まれる時、3人の子供が増えることになる。
波乱を呼んだこの法案は、意外にも実施後、評価がガラリと変わることとなった。
多くの人(ほとんどが老人)に悪影響を与えることはなかったことが大きいのかもしれない。
そして、この法案が通ってから、35年が経った。
当たり前となったこの常識が、様々な人に新たな影響を与えることになるのであった。
文字数 522
最終更新日 2016.12.21
登録日 2016.12.06
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