佐藤　うさぎ

『古神の精霊(アルフ)族、双樹の王(ノルン)のカリンは新神の飛天(イシュマ)族に父母を殺され、妹と引き離されて、浮遊島に監禁されていた。誰にも心を開かず、涙を見せないカリン。飛天たちはそんな彼女を氷姫と呼び、煙たがる。しかしある嵐の後、カリンの前に美しい飛天の青年が現れる。 「故郷の森と妹が心配なら、まずは浮遊島に薬園を造り、導石を手に入れたらいい」 氷姫のかたくなな心は解きほぐれるのか？　恋の影に隠された陰謀とは――。』

『樹精の王族であるユナはある日、闇使徒に襲われた子猿を助ける。この子猿、五つも呪いの枷がついていたが、手枷を取ってやると素っ裸の少年に変貌してカリョウと名乗る。 少年は『炎巨人の心臓』を探しに、天からきた神将だったのだ。 殺された両親と、拉致された姉の真実を知るため、ユナは少年と異界へ旅立つ――。』

『ヤナ国は、世界の南端にある小さな島国。ここは降神島と呼ばれるほど、昔から人でない輩が跋扈(ばっこ)する土地だった。だからヤナの民にはより強い異形と交わり、子種をもらうことに暗黙の了解がある。 焔師（ほむらし）として暮らす螢（ほたる）は、かつて昏神の子と囁かれる王弟のたたらと恋仲だったが、たたらは螢を妖魔からかばって二年前に死んでしまう。 しかし毎夜たたらの夢を見、その死を受け入れられない螢はふたたび襲撃を受ける。それを救ったのは、天から光臨した雷天神の昴（すばる）だった。 昴は螢を自分の探し求めていた花嫁だと言い切り、螢にかけられた呪いを解くため、天へつれかえると言うが――。』