家政夫くんと、はてなのレシピ
家政夫のバイトを始めた男子大学生・泉竹志は妻を亡くしたばかりの初老の男性・野保の家で働き始める。大きな喪失感に覆われた野保の家で竹志はとあるノートを発見する。それは、亡くなった野保の妻が残したレシピノートだった。夫と娘の好物ばかりが書かれてあるそのノートだが、肝心のレシピはどれも一部が欠けている。竹志は彼らの思い出の味を再現しようと試みるが……。「さあ、最後の『美味しい』の秘密は、何でしょう?」一風変わった、癒しのレシピに隠された優しい秘密とは。
付喪神、子どもを拾う。2
付喪神で料理人の剣は、ある日人間の子・悠を拾う。何やら悲しい過去を持つ悠を放っておけず、剣は自分で育てることを決意する。傷ついた悠の心を料理で癒し、父娘の距離は少しずつ近付いていった。二人暮らしにも慣れてきた頃、剣の料理を求めて、しっぽが二つある不思議な白い猫がやってくる。実はその猫は家族の縁を結ぶ神様で、かつて剣とある誓いをしたと言い出して――あやかし父さんの料理が、種族を越えた愛情を育む。温かくて美味しい父娘の物語。
付喪神、子どもを拾う。
店を持たず、勤め先も持たず、客先に出向き、求めに応じて食事を提供する流しの料理人・剣。その正体は、古い包丁があやかしとなった付喪神だった。ある雪の日、剣は道端に倒れていた人間の少女を見つける。その子は薄汚れ痩せこけていて、名前や親について尋ねても、「知らない」「わからない」と繰り返すのみ。何やら悲しい過去を持つ少女を放っておけず、剣は自分で育てることを決意する――あやかし父さんの美味しくて温かい料理が、少女の傷ついた心を解いていく。ひとつ屋根の下で繰り広げられる、ちょっぴり不思議な父娘の物語。