勿忘草

勿忘草

語彙力ないです! 頭に思い浮かんだ物語を書き綴ろうかと思います! よかったら評価や感想を聞かせてください!
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ファンタジー 連載中 長編
 魂は、生物が生命活動を終える際、身体から抜け、冥界へ昇天する。それは音を立てずに、ただ その場に肉塊を残して旅に出る。抜け殻が腐ろうと、魂は腐れない。魂はホテル旅行を行うように転々と、違う地球、違う環境、違う概念の世界へ向かう。そうして、魂は己を鍛錬し続ける。鍛錬をする理由など存在しない。ただ続ける。  これから語る物語には、現実の世界とは全く異なる世界が描かれている。  この世界の魂は、視覚化されている。生物が、己の生を終えたその瞬間、一匹の蝶を模した妖しい灯りが、見た者の感情を神妙にさせる。  視覚化される点以外の概念は、基本的に現実世界とあまり変化がないらしい。  しかし、この世界の文明は、僕が存在していた世界よりも著しく劣っている。  僕は、此処で生涯を終えるのか、と言うか、 既に終えていて、冥界に連れられたのか、いまいち見当もつかない。  僕は今、一面淡い本紫の霧が漂う森の中に佇んでいる。耳を澄ませば、一匹、はたまたそれ以上の甲高い鳥類や獣の鳴き声が、森林の広大さを表すように延々と木霊する。その音に聴き入っていたが、小一時間経った頃、森の奥底から一つの囁きが贈られてきた。その贈り主を辿るべく、立ち続けて痺れた重い足を、一歩、また一歩と運んでいく。枯れ葉を踏み、乾いた音が小さく舞い上がる。地面が緩く、視界不良の中、聴こえた声を頼りに、主が居るはずの方向へ俯きながら進んでいく。  「こんにちは」  儚く生暖かいその声は、僕の身体中を舐め回すように纏わり付いた。思わず顔を上げる。しかし、視界には何処を見渡しても変わらない景色だけが広がっている。  「もう少し、もう少し進んで」  その声に対し、指示に逆らえない奴隷の様に 従い、直進を再開する。あと少し、あと少しと 息を切らしながら口呼吸を続ける。意外に森の中は冷えているのか、呼気からは湯気が出ている。  結末は、突然に襲い掛かって来た。僕は、足を踏み外したのか、悪い夢から醒める為の衝撃か、 はたまた悪い魔女の落とし穴か…… 第一話へ、つづく。
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文字数 2,902 最終更新日 2020.02.17 登録日 2020.02.04
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