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 ある日、少年は出会った。  ――森閑とした神社の境内。  ――それは、淡い輝きを持って神秘を放つ光球だった。  夏の夜。或いは、秋の早朝か。記憶は確かではない  山の中に密かに佇むその神社は、神主も参拝者もいない清閑の中にあって、耳を澄ますと森の音がよく聞こえた。  目を閉じて、木漏れ日の明かりを瞼の裏に感じながら息を吸う。  水を含んだ冷たい空気。そして、仄かな土の香り。  風が吹く度に聞こえる葉擦れの音。遠くに聞こえる細流。その中に、小さな声が聞こえた気がした。  幻聴かと疑うほど小さな声。しかし少年の足は自然とそちらに向き、そして、目にしたのだ。  斜陽を受けて光を散らす湖。見上げるほど大きな大樹を背に、そこに輝く光の影を。  それは神々しいほど美しくて、夜空に浮かぶ月のように明るく悠然と、少年の前に姿を見せた。  それから十年。時は場所と姿を変えて、少年は再び邂逅した。
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文字数 822 最終更新日 2017.07.28 登録日 2017.07.28
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