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1巻

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 序章


 木、木、木……。三六〇度見渡す限り、うっそうと茂る木々。
 道らしい道はなく、足元も茂みに覆われているひとのない森だ。
 枝のすきからかすかな光がこぼれているところを見ると昼間のようだが、密生する木のせいで全体的に薄暗い。
 シルよ……もう少しマシな場所はなかったのか?
 ここなんだ? 選択肢はいくらでもあっただろう?

「グルルルルッ」

 少し前に別れたばかりの人物に向かって、の一つや二つ言っても許されるだろう……などと考えていると、突然、獣のうなり声が聞こえた。
 僕――かやたくみは、慌てて周囲を見渡す。
 すると、少し離れた所から確実にこちらに向かって走ってくる獣――レッドウルフが一匹。
 レッドウルフは赤毛で大型犬くらいのたいを持つ、狼の魔物だ。確かランクはCだったかな?
 あれは完全に僕のことを獲物認定している。
 ぶっつけ本番で自信はないが、このまま襲われるわけにはいかないので、こちらに向かってくるレッドウルフにピストル型に構えた手で狙いを定める。

「《エアショット》」

 僕が叫ぶと同時に、指先から空気のかたまりが弾きだされた。
 空気を圧縮し、弾丸に見立てて放つ魔法だ。空気弾はレッドウルフに命中し、レッドウルフは「ギャイン」と声を上げながら後方へと吹き飛ぶ。
 上手く当てられたことに安堵するも、まだ動くのではないかと警戒した。
 しばらく観察したがレッドウルフはそのまま動かなかったので、無事に倒せたのだろう。

しょぱなからこれかよ……」

 はぁ……と溜め息をついてレッドウルフのがいに近づき、それを《無限収納インベントリ》に回収した。



 第一章 異世界で子供を保護しました。


「大変、申し訳ございません!」
「……?」

 気がつくと、目の前に白に近い銀髪の見知らぬ青年がいた。
 そして彼はいきなり、僕の目の前で床につくばるように土下座をした。
 いやいや……あなたは一体、誰ですか?
 二十歳前後だろうか。僕より少し年下ではないかと思う。下を向いたまま、ピクリともしないので顔はわからない。
 わからないのだが……だろう。この青年はきっと、整った顔をしているんだろうなぁ~……と思う自分がいる。
 そんな彼が、どうして僕に土下座をしているのかは不明だ。
 なにしろ僕は数分前に、見覚えのない場所で目を覚ましたばかりなのだから。
 そう、僕はいつの間にか知らない部屋にいた。
 四方を白い壁に囲まれた部屋。広さは八畳くらいだろうか。その一室には白い扉が二つ。窓は……ない。室内には革張りの二人掛けのソファーが二つ、向かい合わせに並んでいる。ソファーの間には漆黒のガラステーブル。それで全部。他には何もなかった。
 う~ん……。壁が白いから、この〝いかにも〟社長室にありそうな応接間セットが非常にきわち、存在を主張していた。まあ、そんなことはどうでもいいんだが。
 知らない場所にいるってことは、誘拐されたのか? と思ってみたものの、拘束されているわけではないし、何より誘拐犯とおぼしき人物が土下座じゃ……ねぇ……。
 僕は部屋の中を彷徨さまよわせていた視線を、ちらりと青年に戻した。
 うん、まだ頭を下げ続けている。
 これはあれか? 僕が何か言わないとこのままなのだろうか?
 だけど、いい加減説明が欲しい……。仕方がないから、とりあえず彼に声をかけようと思う。

「あ~えっと、あなたは誰ですか? それで、僕がここにいるのはどうしてですか?」

 僕がそう声をかけると、土下座していた青年がやっと顔を上げた。
 うん、予想通りものすごい美形の青年だった。
 白い肌にすい色の瞳。ハリウッドスターに負けず劣らずの甘い顔立ち。着ている服はシンプルで白い簡素なものだが、それがかえって彼の魅力を引き立たせている。
 これはモテる要素しか見当たらないわ。うらやましいを通り越して尊敬にあたいするかもしれない。
 そんな彼だが、じっくりしつけに観察していた僕をとがめるどころか、彼もじっと、こちらを見つめていた。……相変わらず、床に座ったままだが。
 立っている僕のことを上目遣いで見上げているので、「待て」と言われている犬のようだった。軽く瞳をうるませているし……。
 これは僕のほうが悪いのか? と勘違いしそうになる。もちろん、悪くはないがな!
 しょぱな、彼の謝罪から始まったのだから、僕は悪くないはずだ。きっと!

「……初めまして。茅野巧です」

 はぁ、と溜め息をついてから、僕は名前を名乗ってお辞儀をしてみた。
 かというと、あちらから何のアクションもないからだ。

「ご丁寧にありがとうございます。僕はシルフィリールと申します。シルと呼んでください」
「わかりました」

 しっかりと相手から返答があったので、「よし、これで先に進める!」と思ったのだが――

「……」
「……」

 ――会話が続かない。
 、名乗って終わるんだっ!? 話の続きは?
 説明プリーズ! 事情を知っているのは貴方シルだよ!

「あ~……シルさんはどこのどなたで、僕はここにいるんですか?」

 仕方がないので、僕からシルフィリールと名乗った青年に質問をする。

「呼び捨てで構わないです。……えっと、巧さんの立場から見ると、僕は一応、神になります。そして、ここは所謂いわゆる神域の一画です」
「……はぁ!?」

 思ってもみない言葉が返ってきた。
 シルが神様で、ここが神域だって?
 そんなことを言われても、「はい、そうですか」と信じられるわけがない。
 これはきっとあれだ! あらだ!

「さ、じゃありません」
「えっ!?」

 僕は驚いて、目を見開いた。
 心を読まれたのか? そうとしか思えないくらいに、タイミングの良い言葉がシルの口から出てきた。

「あっ、その、心を読むことはできますが、今は読んでいません」

 読めるのかよっ!
 どうやらシルは心が読めるらしい。一応、神様っぽい能力ではある。

「今読んでないなら、何で僕の思っていることがわかるのさ!」
「何となくです。表情を見たらそう考えていそうでしたので、訂正しておこうと思いまして」

 いやいやいや! さっきまで捨てられた子犬のようだったのに、今は、こんなにも冷静に対処しているんだ、この人。どう考えたっておかしいだろっ!? 
 だが、理解した! 真面目に対応していると、疲れる相手だということだけは!

「……シル、状況を簡潔に説明してくれる?」
「あっ、すみません。僕、巧さんのことを誤って殺しちゃいました」

 簡潔すぎっ!! 何なんだよもぉ~~~。
 ――誤って殺しちゃいました。
 まさかの、殺人申告。
 どうやら僕は、この神様に殺されたらしい……。いや、もう……これはどういうことだよ……。
 頭に疑問しか浮かばない僕に、シルはソファーへと移動するように勧めた。
 とりあえず、僕は大人しくソファーに腰掛け、改めてシルから説明を聞くことにする。

「えっと……ある場所に〝ゆがみ〟という時空の裂け目ができてしまったんです。それで、そこを補強して元に戻そうとしたのですが、その……僕、力を込め過ぎちゃいまして。〝ゆがみ〟の通じていた先。その場所にですね、巧さんがいて……その……巨大な力が巧さんに直撃してしまいましたっ!」
「はぁーーーーーー……」

 僕はたまらず長い溜め息をついた。
 シルの説明通りだとするなら、シルに悪気があったわけではなく、さいな(?)力の誤差で起こった事故のようなものだ。
 まあ、僕にとっては単なる事故ってだけで済ますことはできないけどな。
 なんでも、僕の身体はシルの力が直撃した影響で、既に消滅してしまっているんだってさ。
 辛うじて精神だけをこの神域に引っ張ってきたものの、僕の精神は力の衝撃で状態が変質しているそうだ。
 おかげでりんの輪から外れてしまい、普通に転生することができなくなったんだって。
 これがシルの土下座の理由らしい。
 う~ん……。「転生できない」と言われてもね……。死んだ後に転生している感覚は、普通の人間にはないと思うんだが?
 ほら、前世とか覚えているほうがまれだろ? そのことを考えると、「二十八歳にして人生が終わった」ってだけかな?
 まあ、突然死んでしまったのは残念ではあるが、生きていれば事故などで突発的に生涯を終える可能性は少なからずある。
 そうなると気になるのは、普通に死んだ場合はどうなるのかということだ。死んだ自覚もないまま転生するのだろうか?
 だとするなら、僕は今こうやって会話ができるんだから、精神だけでも無事だったことを喜ぶべきか?
 う~ん……正直よくわからない。それよりも聞きたいことがあるのだが――

「で、僕はこれからどうすればいいんだ?」
「ええぇぇっ!?」

 死んだことよりも、今後についてのほうが大事だよな。そう思って話を進めようとすると、シルが驚きの表情で叫びだした。
 何だよ、その反応は!? 

「えっ? まさかのアフターサービスなし?」

 マジで!? 僕、ずっとこのまま? 転生できないなら、魂のまま浮遊し続けるってこと?
 えっ? 幽霊? 認識されない存在でずっと?

「いいえ。違います、違いますっ! 僕、ののしられることを覚悟していたので、巧さんがあまりにもあっさり受け入れて驚いてしまっただけです」
「あ~うん。シルの場合、ののしらないほうが反省するような気がする」
「……」

 あっ、黙った。きっと図星なのだろう。
 怒ってもよかったんだが、僕はただ本当に死んだという実感がないんだよ。だから、なんか怒る気力が湧いてこなかったってだけだ。
 さらにはシルが最初から低姿勢すぎて、怒りががれた。
 実はそれが目的であの態度だったのなら逆に腹が立つんだが、シルの場合はそういう腹芸はできないだろうと、この短時間でもわかる。

「嘘だよ。そこまで怒ってないから、半分は冗談」
「えぇ!? 冗談? ……えっ、は、半分っ!?」
「そう、半分。力加減を間違えて失敗したのは事実だから、そこは反省して」
「……はい」

 うん、徐々にシルの扱い方がわかってきたかな。
 神様相手にこんな態度でいいのか? なんて思ったりもしたが、シル本人が気にしていないみたいだからいいか。

「落ち込むのは後でね。で、僕はこれからどうなるの?」
「あっ、はい。まず新しく巧さんの身体を創って、それに魂を定着させます」
「新しい身体?」
「はい。僕の力で構成します」

 シルが創る……。
 ……………。
 …………。
 ………。
 ……。

「………………失敗して、変な身体になりそう」

 なんか、不安しか感じられないんだけど……。シルって、ドジっ子属性っぽいしさ……。
 物理的に手足がないっ! なんてことはないと思うが……。
 手足が機能しないっ! ってことは普通にありそうで怖い。

「なりません! それは大丈夫です!! 信用してくださいっ! 僕の全力を行使し、ちゃんとしたものを創り上げてみせますっ!!」
「全力は危ない気がするからやめてくれ。慎重に頼むよ。……で、それから?」
「はい、頑張ります! 新しく構成された巧さんは多少なりとも僕の力が宿ってしまうため、残念ながら地球に戻ることはできません。ですので、僕が管理をになっている世界――エーテルディアという世界に転移していただきます。巧さんからすると、異世界ですね」

 シルの力で僕の身体を創るのだから、力が宿るのは仕方がないよな。
 その力が宿った身体だと、地球で生活するには不都合があるらしい。
 シルは別の世界の神様だって言ってたし、確かに問題があるんだろう。
 で、僕が行く世界はエーテルディアと言って、そこには五人の神様が存在するんだって。
 創造神マリアノーラ、火神サラマンティール、水神ウィンデル、風神シルフィリール、土神ノームードル。
 創造神マリアノーラ様が主神として君臨していて、シルを含めた他の四人の神様がマリアノーラ様を支える形で世界を管理している、と。
 そこは異世界といえばお馴染みの剣と魔法の世界なんだってさ。

「ふ~ん。でもさー、僕、運動神経がないから簡単に死にそうなんだけど?」
「大丈夫です! 身体を丈夫に創りますから! あと、スキルも与えますので簡単に死ぬようなことにはなりません」

 そうか。身体が丈夫になれば、簡単には死なないよな。
 それにスキルね……。

「スキルってあれだよな? ゲームとかでよくある……」
「そうです! そのスキルです!! 何か欲しいものはありますか?」
「そうだな……。まず言葉が不自由なのは嫌だな」

 言葉は大事だ。エーテルディアの言語がどんなものかは知らないが、意志疎通ができなきゃ苦労しそうだしね。

「言語や簡単な知識は身体に刷り込ませておきますので大丈夫です。そうですねぇ~。あと、鑑定スキルもつけておきます。それがあれば、仮にわからないものがあったとしても、調べられますよ」
「ああ、いいな。頼むわ。あとアイテムボックス! そういうスキルはある?」

 異世界といえば、アイテムボックスだろ。これの有無で難易度が断然違ってくる。

「マジックバッグっていう大容量のかばん型の魔道具もありますけど、時空魔法の一種である《無限収納インベントリ》というもののほうが、中に入れているものの時間が止まるのでおすすめですね」
「おお~、それそれ! それを使えるようにして!」

無限収納インベントリ》! いいね~。食糧を入れるなら、時間が止まるのは魅力的だ。
 そうだなぁ、あとは身を守るくらいはできないとな!

「あとは自衛ができるように、魔法とか、攻撃手段は欲しいかなぁ」
「わかりました。指定がなければこちらでつくろいますが、いいですか?」

 魔法といっても種類があるよな。武術を習っていたことはないので、武器もこれといって使えるものがあるわけじゃないし……。種類がわからないから、シルが適当に選んでくれるならそれでいいかな?
 一応、シルは神様だし、創った身体の適性に応じて選んでくれるだろう。

「じゃあ頼むわ。あとは、さすがに無一文で放り出されるのは勘弁かな」
「わかりました。とりあえず、僕の属性である風魔法は無条件でつきます。魔法の使い方も身体に刷り込ませておきますね! さらに《無限収納インベントリ》にお金と必要そうなものを適当に入れておきます!」

 シルは風の神様だもんな。風魔法っていったら、ウィンドカッターとか、空気弾とかが定番か? まあ、身体に刷り込みってことは、何も考えなくても使えるようになるのかな? それはそれで助かる。しかもお金だけじゃなくアイテムももらえるとは、言ってみるもんだな。

「あとは大丈夫ですか? 創った身体に魂を定着させる間、巧さんには眠っていてもらいますけど、今のうちに聞いておきたいことってあります?」
「うん? これでシルとはお別れってことか?」
「直接会って話す、という意味ではしばらく無理ですね。会話だけなら、神殿にある石像に向かって念じてもらえば可能です」
「神様に連絡してもいいのか?」
「はい。巧さんは問題ないです。忙しくて応じられない時もあるかもしれませんけど、基本的にいつでも連絡してくれて大丈夫ですから」

 えっと……言葉は大丈夫。知識もつけてくれる。必要そうなスキルやアイテムは用意してもらえる。
 忘れているものはないよな? 大丈夫だよな?

「今のところ思いつかないかな。何かあれば神殿を頼るよ」
「はい。お待ちしています。そしてご迷惑をおかけしました。次に巧さんが目覚めた時は、あちらの世界となります。ぜひ、新しい生活を楽しんでください」

 そう言うシルに頷くと、そのまま意識が遠のいていった。
 あっ、最後に「身体を創る作業は慎重に!」ってシルに念を押すのを忘れた。


 ◇ ◇ ◇


 ――というわけで、僕は異世界の地・エーテルディアへとやって来たのだが、気がついたら見渡す限りの森という状況で途方に暮れていた。

「えっと……《オープン》」

 とりあえず、現状だけは確認しようと、刷り込まれた知識を頼りにメニューを起動させる。
 すると、目の前に黒い半透明のウィンドウ画面のようなものが現れた。これはシルが特別につけてくれた能力の一つだ。



ステータス
【名 前】タクミ・カヤノ
【種 族】人族?[風神のけんぞく(仮)]
【職 業】――
【年 齢】20
【レベル】3
【スキル】光魔法50   闇魔法50
     風魔法150  時空魔法100
     生活魔法100
     剣術50    とうてき術18
     鑑定200   解体100
     料理85    裁縫23
     洗濯12    掃除31
     細工37    算術107
     読書125
     身体異常耐性300
     精神異常耐性300
     物理攻撃耐性300
     魔法攻撃耐性300
【称 号】異世界転生者
     創造神マリアノーラの祝福を受けし者



 現れた画面にはステータスが載っていた。
 名前は……フルネームのままでいいんだな。よく家名持ちは貴族のみとか、そういう設定もあるけど、大丈夫そうだ。
 って、ええぇ!? 種族! 人族にクエスチョンマーク!? 僕、人じゃないの?
 っていうか、けんぞく? (仮)って、神様のけんぞくになっちゃっているよ!?
 聞いてないよ、シル!!
 何でっ!? と思ったが、よくよく考えたらこの身体はシルが創ってくれたものだから、そういうことなのだろうか……? 力が宿るとか言っていたし……。
 今さら、どうしようもないよな……そういうことにしておこう。
 職業。空欄。まあ、そうだね。
 二十歳……ばっちり若返っているわ……。
 レベル3……うん?
 ……ああ、レッドウルフを倒したからレベルが上がったのか。なら、問題なし。
 スキルは……わりとまとも……かな? シルのことだから、正直言って「つけ忘れた」なんてこともあり得るんじゃないかと思ってたけど。うん、なんか安心した。
 ええと……スキルの数字は熟練度ね。50で一般的な腕で〝多少は使える〟程度、100を超えれば熟練者。200を超えれば達人級。MAXは300? そこまでいったらかみわざものっと。
 なるほど~。熟練度を見る限り、キリのいい数字のスキルがシルのくれたもので、料理とかはもともと僕が持っていたものって感じかな?
 地球では一人暮らしだったから料理は日常的に作っていたし、ボタン付けや日曜大工くらいはたまにしていた。
 それにしても、耐性とつくスキルは……完全におかしいよな? 熟練度MAXだぞ。
 これはあれか? シルが身体を丈夫に創るって言ってたからか? ああ、もう……張り切りすぎだよ……。
 えっと、次は称号ね。称号って、通称とか二つ名とかのことだよな?
 異世界転生者……まあ、そうだね。間違ってはいない。
 あとは……創造神ってシル達、四柱の神が支えるこの世界の主神様だよな? 祝福ってなんですか? いつの間に祝福を受けたんですか?
 まあ、たぶん寝ている間か……それしか考えられないし……。
 でも、こういう場合って、普通は創った神様の影響で「風神シルフィリールの~」ってなるもんじゃないのか?
 ――ピロンッ♪
 あっ、頭の中で電子音が聞こえたと思ったら、称号が増えた。
 なになに……【風神シルフィリールの友人】。
 ……よし! 次いこうか!
 え~と、次は……ステータスというメニュー項目の横にタブがある。マップだな。
 今度はそれを選択してみると、画面全体に地図が表示された。どうやら世界地図のようだ。
 地図には大まかに点線が引かれ、国の名前・王都の位置が示されていた。横長のメイン大陸に十の国。島国が一つ。小さな諸島で構成された連邦国が一つ。全部で十二の国がある。
 大陸中央の南側には、国一つ分くらいの面積の森があって、そこには「ガヤの森」と記されている。
 その森の中に、一つの白いピンが刺さっていた。そのピンに触れてみると地図が拡大され、ピンを中心とした詳細の地図となった。
 う~ん、これは僕のいる場所だね。きっと。
 地図を見ながら少し歩いてみると、それに合わせてピンも移動している。よし、現在位置ってことで決定!
 そのまま地図をスライドさせて、森とその周辺を調べてみた。
 このガヤの森はとても大きく、五つの国に接している。
 さて、どこに向かおうか?
 現在地からすれば、森の東側のガティア国が一番近い。森を出て少し行けば、シーリンという街がある。ん~、そうだな。そこにしよう。目指すはシーリンの街だ。
 え~と、次は……地図の隣にあるタブはアイテムリストだ。今度はそれを調べようと思ったところで、ふと視線を感じて、僕はそちらを見た。

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