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殿下はバースデープレゼントを所望する
祝賀会を終えて、2人で退場し、控えの間へ戻ってきた。
「リリアナ、あまり食べていなかっただろう。この後、食事を共にしないか」
「はい。・・セイ様」
「ん?」
立ち止まったリリアナが、ヒルラから大きな包みを受け取り、はにかみながら、俺に手渡してきた。
「お誕生日、おめでとうございます」
心がじわじわと喜びで満ちる。
「ありがとう。開けてみてもいいか?」
うなづくリリアナに微笑んで、リボンを解く。
箱の大きさの割には、案外軽い。
開封すると、見慣れたモコモコの服が現れた。
黒に一部白のラインが入ったモコモコパーカーと、同じく黒に白のラインが入ったモコモコハーフパンツ。このサイズ感、これはまるで・・
「俺の?」
リリアナはもじもじとしている。
「あの、私の部屋着のお店に、最近男性用もできたみたいで、セイ様のオリジナルを作ってもらったのです。前にジュリアンが来た時に、オーダーを頼んで…。オリジナルで、ミリアの刺繍も入れてもらいました」
見ると、白地の部分に紫と翡翠のオッドアイの黒猫の顔が刺繍してあった。
「やはり、私ばかり部屋着では恥ずかしいので、セイ様にも着ていただきたくて・・」
くぅ・・!
俺は嬉しさで頭がどうにかなってしまいそうで、このふわふわとした気分のまま、勢いで言ってしまおうと思う。
「リリアナ、大変だ」
「え!?」
「もちろんこの部屋着を着ていきたいが、それを叶えるためには、俺の部屋からリリアナの部屋まで、この部屋着で廊下を歩かなければならなくなる。俺が自室以外を部屋着でうろつくことはできない。それか、部屋着を持参して、リリアナの部屋で着替える事になるが、自室に帰る時にまた着替え直すことを考えると、少し面倒だ…」
「は・・た、確かに。私としたことが、考えが及ばず申し訳・・」
「なので、俺たちの寝室に戻ってこないか?」
は、とリリアナが俺の目を見て固まった。
「元々寝室にしているコネクティングルームを作り変えて、2人のリビングにしよう。ベッドはそれぞれ、左右の王太子の間・王太子妃の間に置けばいい。どうだろう?そうすれば、ミリアも寂しい思いをしないし・・」
固まっているリリアナの目を覗き込む。
「それも誕生日プレゼントとしてねだってもいいだろうか?」
************************************
「まぁ、なんて可愛らしい!」
突貫で家具を入れ替え、リリアナが正殿に戻ってきたのは生誕祝賀会の3日後。
元あった大きな寝台は取り払われ、共同のリビングとなった部屋には、キャットタワーももちろん配置された。
2人掛けのソファーやテーブル、サイドボードなど、家具も猫足で、上品ながらも猫好きには胸熱な部屋となっている。
早速お茶の準備を始めるヒルラ。
「これからはここで朝餉も一緒にとろう。天気がいい日はバルコニーで外を見ながらもいいな」
生き生きと部屋の説明をするセイラムを見ながら、ジェスは、この部屋の手配で奔走した3日間に思いを馳せる。
ようやく夫婦2人が同じ部屋に戻った。
ここまで、長かった。
生誕祝賀会の後、リリアナ様にこの部屋に戻ってくるよう、おねだりした殿下。
顔には出さなかったが、「いいぞ!今だ!押せ、押すんだ!」と、心中、全力で応援した。
が、なぜに共同リビング!
いいだろう、そこは寝室のままで!もう好き合ってるんだし。
夜になるまで、ぼかしとけばいいじゃないか。
寝る段階になって「あ、そういえばベッドが一つしかない」的な。今、初めて気付きました、的な。
無理があるけど、きっと大丈夫だって。両思いだったら、そういう無理ある展開もなぁなぁに行けるって!
と、心の中で激しくつっこんだが、共同リビングの提案が、思いの外、リリアナに刺さったらしく、すぐに即決してくれたので、まぁ結果的には良かったのかもしれない・・。
「どうせ、すぐに寝室を元に戻す破目になるんだろうな・・」
まぁ、いいけど。ジェスは肩を竦めた。
夫妻は気づいていないが、ジェスの思惑で、2人掛けのソファは1つしか置かなかった。
2人でくつろぐ時には、両隣に座るしかなく、物理的な距離は自然に縮まる。
俺からの餞別、ちゃんと活用してくださいね、殿下。
有能な側近はニッと笑うと、午後の執務の準備をしに、部屋を後にした。
「リリアナ、あまり食べていなかっただろう。この後、食事を共にしないか」
「はい。・・セイ様」
「ん?」
立ち止まったリリアナが、ヒルラから大きな包みを受け取り、はにかみながら、俺に手渡してきた。
「お誕生日、おめでとうございます」
心がじわじわと喜びで満ちる。
「ありがとう。開けてみてもいいか?」
うなづくリリアナに微笑んで、リボンを解く。
箱の大きさの割には、案外軽い。
開封すると、見慣れたモコモコの服が現れた。
黒に一部白のラインが入ったモコモコパーカーと、同じく黒に白のラインが入ったモコモコハーフパンツ。このサイズ感、これはまるで・・
「俺の?」
リリアナはもじもじとしている。
「あの、私の部屋着のお店に、最近男性用もできたみたいで、セイ様のオリジナルを作ってもらったのです。前にジュリアンが来た時に、オーダーを頼んで…。オリジナルで、ミリアの刺繍も入れてもらいました」
見ると、白地の部分に紫と翡翠のオッドアイの黒猫の顔が刺繍してあった。
「やはり、私ばかり部屋着では恥ずかしいので、セイ様にも着ていただきたくて・・」
くぅ・・!
俺は嬉しさで頭がどうにかなってしまいそうで、このふわふわとした気分のまま、勢いで言ってしまおうと思う。
「リリアナ、大変だ」
「え!?」
「もちろんこの部屋着を着ていきたいが、それを叶えるためには、俺の部屋からリリアナの部屋まで、この部屋着で廊下を歩かなければならなくなる。俺が自室以外を部屋着でうろつくことはできない。それか、部屋着を持参して、リリアナの部屋で着替える事になるが、自室に帰る時にまた着替え直すことを考えると、少し面倒だ…」
「は・・た、確かに。私としたことが、考えが及ばず申し訳・・」
「なので、俺たちの寝室に戻ってこないか?」
は、とリリアナが俺の目を見て固まった。
「元々寝室にしているコネクティングルームを作り変えて、2人のリビングにしよう。ベッドはそれぞれ、左右の王太子の間・王太子妃の間に置けばいい。どうだろう?そうすれば、ミリアも寂しい思いをしないし・・」
固まっているリリアナの目を覗き込む。
「それも誕生日プレゼントとしてねだってもいいだろうか?」
************************************
「まぁ、なんて可愛らしい!」
突貫で家具を入れ替え、リリアナが正殿に戻ってきたのは生誕祝賀会の3日後。
元あった大きな寝台は取り払われ、共同のリビングとなった部屋には、キャットタワーももちろん配置された。
2人掛けのソファーやテーブル、サイドボードなど、家具も猫足で、上品ながらも猫好きには胸熱な部屋となっている。
早速お茶の準備を始めるヒルラ。
「これからはここで朝餉も一緒にとろう。天気がいい日はバルコニーで外を見ながらもいいな」
生き生きと部屋の説明をするセイラムを見ながら、ジェスは、この部屋の手配で奔走した3日間に思いを馳せる。
ようやく夫婦2人が同じ部屋に戻った。
ここまで、長かった。
生誕祝賀会の後、リリアナ様にこの部屋に戻ってくるよう、おねだりした殿下。
顔には出さなかったが、「いいぞ!今だ!押せ、押すんだ!」と、心中、全力で応援した。
が、なぜに共同リビング!
いいだろう、そこは寝室のままで!もう好き合ってるんだし。
夜になるまで、ぼかしとけばいいじゃないか。
寝る段階になって「あ、そういえばベッドが一つしかない」的な。今、初めて気付きました、的な。
無理があるけど、きっと大丈夫だって。両思いだったら、そういう無理ある展開もなぁなぁに行けるって!
と、心の中で激しくつっこんだが、共同リビングの提案が、思いの外、リリアナに刺さったらしく、すぐに即決してくれたので、まぁ結果的には良かったのかもしれない・・。
「どうせ、すぐに寝室を元に戻す破目になるんだろうな・・」
まぁ、いいけど。ジェスは肩を竦めた。
夫妻は気づいていないが、ジェスの思惑で、2人掛けのソファは1つしか置かなかった。
2人でくつろぐ時には、両隣に座るしかなく、物理的な距離は自然に縮まる。
俺からの餞別、ちゃんと活用してくださいね、殿下。
有能な側近はニッと笑うと、午後の執務の準備をしに、部屋を後にした。
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